ポーカーの基本(EV計算)
2021年6月12日更新
お久しぶりです。
ナッツオアエアーモデルのGTOを自明として、クイズの回答を制作していたのですが、
そもそもナッツオアエアーモデルを知らない人には何もわからないという指摘を受けたので、EV計算の基本とそれを用いたナッツオアエアーモデルの均衡戦略の導出について説明したいと思います、
EV(期待値)計算
この章ではEV(期待値)について掘り下げて説明したいと思います。そもそもEVとは何なのでしょうか?EVとは一度の試行で得られる利益の平均値で、得られうるすべての利益とそれが起こる確率の積を足し合わせたものです。利益の平均値が一番高いプレイを続ければ長期的に得をするので、ポーカーでは常にEVが高いアクションをとることが大切なわけですね。なのでEVを計算できることは大変重要です。
では実際のEV計算をポーカーの例を用いて説明します。
リバーであなたはIPから1ポットサイズのオールインするか、チェックするか選択します。オールインした場合、OOPの相手は30%あなたのハンドに勝つハンドでコールして、20%あなたのハンドに負けるハンドでコールして、50%フォールドします。この時のベットEVを求めてみましょう。
この時発生する事象は
コールされて勝つ
コールされて負ける
フォールドされて勝つ
の三通りです.
つまりそれぞれの事象の利益と起こる確率が分かればそれぞれの積を足し合わせることでベットEVが導出できるわけですね。
コールされて勝つときの利益は+2、それが起こる確率は20%=0.2
コールされて負けるときの利益は-1、それが起こる確率は30%=0.3
フォールドされて勝つときの利益は+1、それが起こる確率は50%=0.5
(利益と言っているのに-の値をとることに違和感があるかもしれませんが、(マイナスの利益)=(損失)とお考え下さい)
(すでにポットに入っているチップはデッドマネーとして考えるので、コールされて負けるときの利益は-2とはなりません)
あとはこれらの積をとって足し合わせればIPのベットEVが導出できます。
よって、IPのベットEVは+0.6となります。これは一回ベットするたびに平均的に+0.6だけチップを得るということを表しています。しかし、この+0.6という値だけではベットするべきかチェックするべきかがわかりません。そこでチェックしたときのEVを導出してベットとチェックのEVを比較して正しいアクションを導出してみましょう。
IPがチェックした場合、IPは70%勝ち、30%負けるとします。
(IPがベットした場合にOOPがフォールドするハンドは全てIPのハンドに負けていると仮定する)
この時発生する事象は
チェックして勝つ
チェックして負ける
の二通りです。
先ほどと同じようにそれぞれの利益と起こる確率を見てみましょう。
チェックして勝つときの利益は+1,それが起こる確率は70%=0.7
チェックして負けるときの利益は0,それが起こる確率は30%=0.3
これらの積をとって足し合わせることでIPのチェックEVを導出できます。
よって、IPのチェックEVは+0.7となります。したがってベットEVとチェックEVを比較すると、チェックEVのほうが高いのでIPは必ずチェックするのが正しいプレイということになります。
まとめ
以上がEV計算の基礎の説明になります。このように手計算でEV計算できることは実際のポーカーでは稀です。しかし、ポーカーを理論的にとらえる第一歩になるとは思います。この記事が皆さんのお役に立てると幸いです。
長くなってしまったので、ナッツオアエアーモデルの解説は次回の記事で行いたいと思います。
長文を読んでいただきありがとうございました.ご意見ご感想質問等あればコメントにてお願いします。