chipのEVはプラスなのにEVマイナス?ChipEVと$EVの違い(ポーカー)
こんにちは、せーやです。
みなさんがポーカーをプレイするとき常にEVプラスになるようにプレイしているでしょう。
意識していないでしょうが、この時考えているEVはChipEVです。
リングゲームでは1BB=x$(xはステークスによって異なる)となるので、Chipを増やせば増やすほど$を増やすことができます。
しかし、トーナメントではそうはいきません。
トーナメントではChipの量ではなく、順位ごとに賞金が発生します。
そのため、Chipを増やすこと=$を増やすことにならない場合があります。
それでは困りますよね。
私たちが欲しいのは$EVであってChipEVではありません。
実際にChipEVと$EVの違いを考えてみます。
状況
3人のトーナメントで、2人からインマネ。
賞金は1位が100$、2位が50$。
それぞれのスタックは
A:30BB
B:5BB
C:15BB
とします。
アンティはありません。
ICMによる賞金期待値計算
所持チップ数に応じて賞金期待値を計算するモデルをICMといいます。
ICMの計算方法についてはまた別の記事で紹介します。
ICMに基づいてそれぞれの賞金期待値を計算しました。
A:76.19$
B:19.64$
C:54.17$
全員の賞金期待値を足し合わせると賞金の合計値になります。
この情報をもとに$EVを考えます。
アクションの説明
AがBTNから30BBのオールイン。
BがSBでフォールド。
CがBBでコールするか悩んでいます。
Cがコールするために必要な勝率をChipEVと$EVの観点から考えてみます。
ChipEVがプラスになる勝率
ChipEVがプラスになる勝率はオッズ計算をすれば導出できます。
(勝率)=14/(0.5+14+15)
(勝率)=0.459
つまり、勝率45.9%以上のハンドでコールすればChipEVがプラスになります。
$EVがプラスになる勝率
先ほど賞金期待値を計算したように各アクション後の賞金期待値を計算します。
フォールドした場合の賞金期待値
A:31.5BB(賞金期待値:78.37$)
B:4.5BB(賞金期待値:18.41$)
C:14BB(賞金期待値:53.22$)
コールして勝った時の期待値
A:15BB(賞金期待値:54.95$)
B:4.5(賞金期待値:17.97$)
C:30.5(賞金期待値:77.09$)
コールして負けた時の期待値
A:45.5BB(賞金期待値:95.5$)
B:4.5BB(賞金期待値:54.5$)
C:0BB(賞金期待値:0$)
Cがフォールドした場合、Cの賞金期待値は53.22$です。
Cがコールして勝った場合、Cの賞金期待値は77.09$です。
Cがコールして負けた場合、Cの賞金期待値は0$です。
コールした場合の$EVは
77.09×X+0×(1-X)
で導出できます。(Xはハンドの勝率)
フォールドした場合の$EVは
53.22×1
で導出できます。
コールした場合の$EVがフォールドした場合の$EVより大きくなればコールできるので、必要勝率は以下の式で計算できます。
77.09×X+0×(1-X)≧53.22×1
X≧69%
つまり、勝率69%以上のハンドでコールすれば$EVはプラスになります。
ChipEVがプラスになる勝率は45%。
$EVがプラスになる勝率は69%。
ChipEVがプラスだと考えて勝率45%以上69%未満のハンドでコールしてしまうと、$EVがマイナスになります。
普段トーナメントをプレイしない人はChipEVと$EVの考え方の違いに戸惑うでしょう。
しかし、トーナメントで勝つためには二つのEVの違いを理解しなければなりません。
$EVとChipEVの違いを正しく理解して、賞金を稼ぎましょう!
今回は以上です。