Independent Chip Model (ICM)って何?(ポーカー)
前回の記事ではChipEVと$EVの違いについて説明しました。
賞金期待値の計算方法について説明しなかったので今回はそれを説明します。
期待値はそれが起こる確率と利益をかけて足し合わせれば、計算できます。
下の記事で期待値について詳しく説明してあるので、気になった人は見てみてください。
賞金期待値を求めたい場合、各順位になる確率と賞金額をかけて足し合わせれば、求めることができます。
優勝する確率は(自分のスタック)/(総スタック)で求められます。
これについても計算で導出することができるのですが、今回は飛ばします。
そういうものだと思ってください。
2位以下になるプレイヤーの確率を求めるのはこれではうまくいきません。
そこで、簡易的な方法を用いて2位以下になる確率を計算します。
その簡易的な方法が、Independent Chip Model (以下ICM)です。
Independent Chip Model (ICM)
具体的にICMの考え方を見ていきましょう。
- 優勝確率は(自分のスタック)/(総スタック)で計算できる。
- 優勝するプレイヤーが決まったと仮定する。この時、残りのプレイヤーは優勝以外の最上位である2位を目指すとする。
- 優勝したプレイヤーのスタックはなかったものとする。そうすることで、2位になる確率は(自分のスタック)/(残りのスタック)で計算できる。
- 同様に1位、2位のプレイヤーが決まったとすると、残りのプレイヤーは優勝以外の最上位である3位を目指す。
- 1位と2位のスタックはなかったものとする。3位になる確率は(自分のスタック)/(残りのスタック)で計算できる。
- 4位以下の場合も同様に計算できる。
具体的な例を見ていきましょう。
3人のプレイヤーがいてそれぞれのスタックは以下のとおりである。
A:30BB
B:5BB
C:15BB
賞金は1位100$、2位50$とします。
今回はAの優勝確率と2位になる確率を計算します。
それがわかれば、Aの賞金期待値を計算できるからです。
優勝確率は(自分のスタック)/(総スタック)で計算できるので、
Aの優勝確率:30/50=3/5
Bの優勝確率:5/50=1/10
Cの優勝確率:15/50=3/10
次にAが2位になる確率を計算します。
Aが2位になるのは、
- Bが1位でAが2位になる場合
- Cが1位でAが2位になる場合
の2通りあります。
Bが1位でAが2位になる場合
Bの優勝確率は1/10。
Bが1位なので、Bのスタックである5BBをなかったものとする。
AとCの残りスタックの合計は45BB。
したがって、Bが1位という条件でAが2位になる確率は
30/45=2/3
Bが1位になる確率は1/10なので、Bが1位かつAが2位になる確率は
1/10*2/3=1/15
Cが1位でAが2位になる場合
Cの優勝確率は3/10。
Cが1位なので、Cのスタックである15BBをなかったものとする。
AとBの残りスタックの合計は35BB。
したがって、Cが1位という条件でAが2位になる確率は
30/35=6/7
Cが1位になる確率は3/10なので、Cが1位かつAが2位になる確率は
3/10*6/7=9/35
Aが2位になる確率
これら二つの確率を足し合わせれば、Aが2位になる確率が計算できます。
1/15+9/35=34/105
よってAが2位になる確率は34/105です。
このようにして、簡易的に着順の確率計算を行えるのがICMの良いところです。
Aの賞金期待値
Aが各順位になる確率がわかったので賞金期待値を計算できます。
優勝の期待値
100*3/5
2位の期待値
50*34/105
これらを足し合わせると、
100*3/5+50*34/105=76.19$
Aの賞金期待値は76.19$であると計算できました。
ICMという言葉は知っていたけれど実際の計算方法はわからなかったという人は多いのではないでしょうか。
みなさんの理解が深まれば幸いです。
今回は以上です。